こんにちは。リノクラフトmarikoです。12月11日(木)に行われた、リノベーション・オブ・ザ・イヤー2025授賞式にて、リノクラフトの作品「ガリバーを解き放て!」が部門最優秀賞を受賞しました。2年連続の部門最優秀賞は、このアワード始まって以来初!
本作品は「改正建築基準法」(いわゆる4号特例の縮小)もハウスメーカーの「型式適合認定」も、ガイドラインを正しく読むことで適正なリノベーションが可能であることを訴えた作品です。本作品をモデルとして、業界全体が盛り上がり、前途ある若い世代が自由設計の住まいを適正価格で手に入れられる市場環境を広めたいと思っています。
PR TIMES の記事はコチラ

↓ 以下、PR TIMES の記事とほぼ同じ内容ですが、改めて書かせていただきます。
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リノベーション・オブ・ザ・イヤー(ROY)とは
リノベーション・オブ・ザ・イヤーは、リノベーションのその年の優秀作品を決めるアワードです。作品の価格帯ごとに、①800万円未満、②1500万円未満、③1500万円以上、④無差別級 という4つの部門に分かれており、一次審査は一般の方からの「いいね」数などを元に選考されます。
このアワードの面白いところは、デザインの良さだけが決め手ではないことです。リノベーションらしい提案なのか。新規性はあるのか。社会的意義はあるのか。などなど、様々な角度から審査されます。そのため、様々な切り口の面白い作品が集まります。リノベーション自体が「在るものを活かす」という性質のものなので、ユニークな作品が集まってくるのも必然かもしれません。
2025年は、全206点の応募作品の中から60点が一次審査を通過し、「入賞」となりました。そして12月11日(木)、この60点の入賞作品の中からさらに、グランプリ・各部門最優秀賞・特別賞などが発表されました。
リノベーションオブザイヤー2025入賞作品はコチラ

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本作品が生まれた二つの背景
作品に込めたミッションは「インポッシブル:不可能」をどのように「ポッシブル:可能」にしていったのかというモデル作品を広く社会へ発信・共有すること。このモデル作品を業界に浸透させ社会への好循環をもたらすことを、私たちのビジョンとして託しています。本作品が生まれるまでには以下の二つの背景が存在しました。
〇改正建築基準法の誤った解釈によるSNS界隈でのミスリード
2025年4月1日に施行された「改正建築基準法」によって、YouTubeなどSNS界隈では「4号特例縮小ヤバイ、リノベはオワコン」などのネガティブな情報が溢れ、実際に見込み客から「YouTube見たんですけど、もう自分たちのやりたいリノベってできないんですか?やってはいけないんですか?」と言った主旨のご質問が多く寄せられ、誤った情報が広がっていくことに悔しさが滲みました。「リノベーションはもう難しいのではないか」という不安が囁かれ、業界内でも閉塞的な気配が蔓延していました。
〇一般的に扱いづらいと敬遠されている大手ハウスメーカーのリノベーション
大手ハウスメーカーの多くは「型式適合認定」という建築基準に適合した独自の仕様が予め認定され、個別の建築確認や検査を省略できる制度があります。一方で、ライフスタイルの変化によって大規模なリフォームを検討する時には、この認定された独自の仕様から外れることはできず、リフォームの計画が制限されたり、建築基準の適合を証明することが困難な場合があります。つまり新築した大手ハウスメーカー以外ではリノベーションをすることが難しく、我々のような小規模事業者が敬遠してしまうという現状があります。
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本作品「ガリバーを解き放て!」5つのポイント
① なぜガリバーなのか
ガリバー企業とは、ある業種・業界で圧倒的な力を持つ巨大な企業をたとえていう言葉。大手ハウスメーカーは、建築事業を営む小規模事業者から見ればガリバーであり手強い相手。しかし今回は、「型式適合認定」と言う縛りから優良な住宅ストックの活用を阻まれてしまいます。そこで小規模事業者が、リノベーションを通じて知恵と工夫でガリバーを解き放つというストーリーが生まれました。
② 周知・共有したいこと
「改正建築基準法」に関して多くの人が問題としている、俗に言う「4号特例の縮小」。「4号特例縮小でリノベーションができなくなる」「確認申請が必要だが事実上、申請が通らない」といったミスリードを正すため、本作品を周知・共有したい。
③ ポイントは国土交通省のガイドライン
「改正建築基準法」に先駆けて明確な基準が設けられ、リノベーションをよりスムーズに進めるガイドライン(R.6.2.8 国交省発出:『屋根及び外壁の改修に係る設計・施工上の留意事項について』)が与えられました。これにより大規模な修繕、模様替にあたるか判断に迷う部分が明確化されたのが大きなポイントです。
※『屋根及び外壁の改修に係る設計・施工上の留意事項について』
④ リノベーションにおける「改正建築基準法」の解釈
【 確認申請が〈必要〉】主要構造部の過半を修繕・模様替する場合
主要構造部とは、壁・柱・梁・床・屋根・階段
(最下階の床、構造上重要ではない間仕切り壁、間柱などはこれに当たらない)
【 確認申請が〈不要〉】屋根・外壁を下記内容で改修する場合
屋根・外壁の外装材のみの改修をする場合。
屋根・外壁の既存を残し、上から新たな屋根や外壁を新設するカバー工法による改修をする場合。
※参照:国交省『【参考】屋根及び外壁の改修に関する建築基準法上の取扱いについて』
⑤ 今後の展望
本作品「ガリバーを解き放て!」がモデル作品となり、改めて日本中にある優良な住宅ストックを適切に利活用していくことがリノベーション業界のミッションです。物価高に喘ぐ若い世代に適正価格の住宅取得を促すことは社会全体の活力となり希望となります。そのためにも業界を挙げて解決策をともに模索し、実例をシェアしていく環境を整えることで明るい未来が築けると考えています。

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選考委員コメント(一部抜粋)
■ 島原 万丈 氏 LIFULL HOME’S総研所長(株式会社LIFULL)
1500万円以上部門最優秀作品の「ガリバーを解き放て!」(リノクラフト株式会社)は、ハウスメーカーのプレファブ住宅のリノベーションである。プレファブ住宅は、型式適合認定住宅であり、メーカーから設計情報も開示されないため、リノベーションでは最も手を出しにくいストックの代表例である。さらに2025年の改正建築基準法による4号特例の縮小で業界全体が戸建てリノベに及び腰になるなか、本作が示したのは、制度を精緻に読み解く高度な実務能力と難題に挑戦する勇気だ。
確認機関と丁寧に協議しつつ、どこまでの改修が「大規模な改修には該当しない」と見なされ得るのか、そのラインを慎重に見極め、既存構造の強度を活かしたうえで、省エネ性能をZEH適合レベルまで引き上げた。厳しい制度環境の中でも、冷静な技術判断と設計力によってプレファブ住宅のストックはここまで更新できる。その実例を示すことで、業界全体に勇気を与えるメッセージを発した秀作である。
■ 木村 駿 氏 日経アーキテクチュア編集長(株式会社日経BP)
4号特例の見直しに伴って、2階建て木造戸建て住宅でも「大規模の修繕・模様替え」に該当する場合は建築確認が必要になった。大規模に当たるかは「主要構造部の過半」を改修するかどうかで決まる。大幅な規制強化であり、リノベ事業者にとっては悩ましい問題だろう。今後は、複雑な建築基準法令を読みこなし、実務で使いこなす能力が、これまで以上に求められるようになる。国土交通省のガイドラインなどを読み解き、既存の外壁を新たな外装材で覆うカバー工法などを使って、大手住宅会社が建てた築40年近い住宅を爽やかに生まれ変わらせた本作は、その先駆例といえるかもしれない。断熱性能も十分に確保し、新たな住人の生活を支えている。
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最後に
最優秀賞という栄誉ある賞をいただき、改めて本作品のリノベーションのプロセスやアイデアなどを広く皆様と共有させていただくための、強い後押しがいただけたと感じています。
講評会では、審査員の斉藤 アリス 氏(TOKOSIE編集部ディレクター、モデル)から、
「法律改正などがあったときなどに、こういう場でみなさんと共有したりシェアしたりすることで、より業界が発展していく場になったらいいとおっしゃったことに共感しました。」(要約)
という、とっても嬉しいコメントをいただきました。
創業当時と変わらぬ想いでリノベーションに取り組んでいます。これからもお客様の夢と希望に寄り添う伴奏者として、リノベーションという同じ業界に身を置く仲間たちとともに、地道に誠実に遵法精神を大切にしていきます。そして何より前途ある若い人たちへ「豊かな未来への礎」を築いていきたいと願っています。

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受賞に際し、「いいね」のご協力をくださったみなさま。たくさんのご支援・ご声援、本当にありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。



















