築130年の古民家に住む、母と双子の姉妹の物語です。
リノベーションの話が進みはじめると、「こんな古家は壊して建て替えるべき」「土地を売って駅近の利便性の良い場所に引っ越した方がいい」など、周りの猛反対を受けます。母と双子の妹も建て替えを視野に入れるようになりましたが、双子の姉はこの家と土地を守りたいと、強くリノベを希望します。
相談を受けた我々は、減築と外からの耐震断熱補強で、面影を残しながらも現行の新築住宅と遜色ない快適さを実現するプランによって周囲の理解を得ることに成功。
劣化著しい古民家再生工事は難航しますが、彼女の強い意志と、姉妹自ら施工に加わる姿に、全員が一丸となり完成までたどり着くことができました。
潮風の強い土地のため、外壁には焼杉と椹を使用。客間を兼ねた仏間の隣に、洗面・トイレを併設。歴史ある梁や柱には、カバ桜の床やシナ材のキッチンが軽やかさを加えます。各個室には色ガラス入り建具で遊び心も忘れません。
昭和初期から犬と暮らしていた家に、今は3人と1匹(3+one)で仲良く快適に暮らしています。時に厳しい山海と、130年の家の歴史とともに生きる決意が、新たな門出のこの家の佇まいに顕れています。