実家や持ち家のリノベーションを検討されている方にとって、気になるポイントの上位に耐震性能があるかと思います。リノベーションでもしっかりと設計施工すれば耐震性能は十分な水準まで向上させることができます。
はじめの2枚は、リノベーションの間取り変更に合わせて耐力壁を増やした1F・2FのAFTER図面、次の2枚は、解体後に現地で確認した筋交を落とし込んだ、1F・2FのBEFORE図面です。
建築当時の建築確認では問題なかったのですが、現在のソフトウェアで計算すると僅かに壁量(建物の強度を司る要素)が足りていません。直ちに問題が起きるわけではないのですが、できれば現行の耐震基準に近い性能にしたいのが人情です。元々存在していた筋交いを活かしながら不足している壁量を追加することで、無理なく耐震性を向上させています。特にBeforeとAfterでの比較では剛芯(図面では中央部にある青い丸印)がより建物の重心(建物中央の赤い丸印)に寄っており、偏心距離が小さくなっています。これが建物に揺れが加わった時のバランスに影響するのです。
この事例は予め壁量計算を行い、耐震等級2相当の壁量を確保することができました。耐震等級2は、現行の耐震基準の1.25倍以上とされ、避難所などに指定される公共施設に近い強度となります。